――高校3年の秋

楽しいイベントも、なんもかんも終わって、
残っているのは、受験戦争と、卒業式。

怒られるの承知で、髪染めて、だらしなく制服着てみたりして
授業なんて、はなから聞くつもりもない。

「今日が楽しければ、明日も楽しいに決まっているじゃん」

今は "現在" しかないから、全力で思うままに動きたい。
そしたら、後悔なんてきっとしない。

――高校2年の冬
大好きな先輩が卒業してしまった。

構えの姿勢、弓の引き方、自分のベストな緊張感。
先輩から教わったものは多いけど、それを後輩に伝えられるか分からない。

季節は巡って、あっという間に、夏。
部長なんて、ただ不安で、プレッシャーでしかなかった。

でも、卒業しても気にかけてくれる先輩がいた。
それが、ものすごく嬉しかった。

「ただ、笑って、喋って、傍にいる。
それだけで充分だった」